今からおよそ一二〇〇万年前の新生代第三紀中新世、
伊豆半島が南の海にあって日本列島に衝突する前の、
まだ丹沢山地が影も形もなかったころ、
日本列島は今よりも暖かく、現在では見られない生物が分布していた。
その暖かかった海の海岸には、ちょっと変わった姿の哺乳類が生息していた。
大きさは豚より一回り大きく、豚よりも胴が太く、
頭は一見カバのような姿をした動物だった。
この動物は束柱類という絶滅したグループである。
日本から北アメリカにかけての北太平洋沿岸に生息していた。
束柱類という名前は、その歯の形からつけられた。
歯はのり巻きを束ねたような形をしている。
日本での発見例は北海道から島根県まで、各地にわたっている。
そして、何種類かある束柱類のなかでも、
パレオパラドキシアとデスモスチルスが数多く発見されている。