都市ガス産業の生みの親となった石炭。
今では、都市ガス原料としてはほぼ忘れられた存在で、コークス炉がいくつか動いているのみです。
それも目的はコークスにあって、ガスはむしろ副産物です。
しかし、石炭は豊富な資源。
これを放っておく手はないと、石油ショック以後、石炭を完全ガス化して天然ガスと同じ成分のガスを作り出す研究が開始されました。
この研究は、一時アメリカで盛んだったのですが、天然ガスの価格が下がったことや技術的な問題から、今では下火になっています。
日本でも、サンシャイン計画の一環としてパイロットプラントが一基運転されていますが、残念ながら実用化には、まだかなり時間がかかりそうです。
一方、重質油から天然ガスを作る研究も進められています。
最近の石油製品は、ガソリン、灯油、軽油などの中・軽質油が売れ、重質油は人気が薄くなっています。
余った重質油で天然ガスが作れたら、エネルギー対策の点でも有利です。
10年ほど前、大阪ガスで重質油から中・軽質油を抜き出し、その残りから天然ガスを作るパイロットプラントが運転されていました。
LNGは、気化した後、熱量調整をしただけで送り出すことが本来の使い方です。
しかし、ナフサやLPGと同じように、分解して水素を得ることもできます。
LNGはガス化の工程がシンプルであり、発熱量も高いため、同じ口径のパイプラインでより多くの熱量が運べたり、同じガスホルダーでも多くの熱量を貯蔵できるという利点があります。
ただ、LNGは、海外での開発、輸送手段、導入設備等に大規模で莫大な資金を必要とするので、投下資本回収のためにフル生産される必要があります。
・・・こうした背景から、ガスの需要量の変化に合わせて輸入量(導入量)を臨機応変に変えることはむずかしいのです。
このため、貯蔵用の保冷タンクを設けて備蓄したり、ナフサ、またはLPGから需要調整用の天然ガスを作るSNGプラントを設けて需要変動に応じる必要があります。
なお、LNGは超低温であるため、冷熱利用が行なわれています。
その性質を有効に生かして、ガス製造以外の種々な冷熱利用が行われているのです。
特にLNGの増加にともない、産地によって異なる天然ガスの熱量を1立方メートル当り1万1000キロカロリーに統一するための増熱用としての利用が増加しています。
3つめはナフサ同様、分解して、水素を主成分とするガスやメタンを主成分とするガスを作る原料用です。
オイルショック後、ナフサとLPGの価格が抜きつ抜かれつし、またLPGの需給が逼迫したりしたこともあって、両方の原料が使えるようにしている事業者も多いです。
最後はストレート供給。
プロパンをそのまま供給する方式で、熱量は2万4000キロカロリーです。
LNG
LNGは、LPGと同じように常温にもどすだけでガスになります。
しかし、マイナス160度Cという超低温であるめ、LPGに比べて大量の熱を与える必要があります。
熱源としては海水、または温水が使われます。
海水を使う方式には、高圧のLNGが通るチューブの周囲から大量の海水をかけるオープンラック式と、海水とLNGの間に熱媒体を介在させる中間媒体方式等があります。
温水を使う方式には、水中バーナーで作った温水中のチューブにLNGを通すサブマージド方式があります。
気化させたLNGは、LPGで熱量を調整したのち、そのまま高圧で大量に送り出すことができます。
LPG
LPGは、低温で液化したものは常温に、圧力をかけて液化したものは常圧にするだけでガスになります。
家庭用や自動車用のLPGは常圧にする方式です。
一般に液体が蒸発する時、周囲から蒸発潜熱を奪います。
ですから、LPGをガス化するためには、この熱を与えなければなりません。
家庭用などの小規模なものでは、ボンベに大気から入る熱で十分。
しかし、大規模になりますとそれでは間に合わないので、温水や蒸気で加熱してやる必要があります。
この熱を与えてLPGを蒸発させる装置を、べーパライザー(気化器)と呼んでいます。
気化したLPG、すなわちプロパンまたはブタン(都市ガス原料としては主としてブタン)の都市ガス用としての利用には4つあります。
1つは、1立方メートル当り3万2000キロカロリーのブタンに空気を混ぜ、7000キロカロリーに下げて供給する方式。
このガスは「ブタン・エアーガス」と呼ばれています。
空気を混ぜるのは、ブタンのままではわずかの圧力でまた液体になってしまうからです。
この方式は、比較的小規模な都市ガス事業者で使われています。
2つめは、石炭ガス、ナフサ分解ガス、天然ガスなどと混合して供給するガスの熱量をあげるための増熱用です。
一方、連続式とは、触媒の入ったチューブの周囲を加熱し、ナフサまたはLPG(後述)と水蒸気を連続的に通してガス化するもので、高圧で運転されることが多いです。
サイクリック式に比べて、大規模なガス製造が可能で、効率もいいです。
また連続式は、原料の液体をポンプであらかじめ加圧することにより、高圧でガス化できますため、電力コストが節減できるというメリットもあります。
もっとも連続式には、1度停止させると、再スタートするのに時間がかかるという難点があります。
しかし、LNG転換が進んでくると、ガスの主成分がメタンになるため、このガス化方式も徐々に追い出されることになってきました。
代わってナフサから天然ガスと同じようなガス(代替天然ガス)を作るプラントが登場しました。
このプラントはSNGと呼ばれ、最初のものは昭和48年に建設されました。
その原理は、先程のナフサと水蒸気から作った水素主酸化炭素力らメタンを合成し、余分な二酸化炭素を除去するというものです。
ナフサの分解と、このメタンの合成反応とは同一の反応炉内で同時に行なわれますが、ナフサの分解反応が吸熱反応(外部から熱を吸収する反応)であるのに対して、メタンの合成反応は発熱反応。
そのため、反応炉の入り口をある温度に保っておけば、あとは加熱しなくても反応が進んでいくのです。