現在、地球上・月面上で知られている鉱物の種類は、
総計四〇〇〇種をこえているが、
そのなかで一つだけ神奈川県にある地名のついた鉱物がある。それが「湯河原沸石」である。
湯河原沸石は、後に偉大なアマチュア鉱物学者として知られるようになった
故櫻井欽一博士(一九一二~一九九三)により、
一九五二年に新鉱物として発表されたものである。
発表からさかのぼること二〇年前の一九三〇年、
当時、弱冠一八歳の櫻井青年は、
神奈川県湯河原町の不動の滝に現れていた凝灰岩のなかから、
無色透明の、板状の結晶をした鉱物を採集した。
すでに、独学で鉱物についてある程度の知識をもっていた彼は、
この鉱物が沸石とよばれるケイ酸塩鉱物の一種であることに、すぐ気がついた。
教科書を参考にしてそれを同定しようとしたが、
どうしてもそれまでに知られていた沸石に一致する性質を得ることができなかった。
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