LPG
LPGは、低温で液化したものは常温に、圧力をかけて液化したものは常圧にするだけでガスになります。
家庭用や自動車用のLPGは常圧にする方式です。
一般に液体が蒸発する時、周囲から蒸発潜熱を奪います。
ですから、LPGをガス化するためには、この熱を与えなければなりません。
家庭用などの小規模なものでは、ボンベに大気から入る熱で十分。
しかし、大規模になりますとそれでは間に合わないので、温水や蒸気で加熱してやる必要があります。
この熱を与えてLPGを蒸発させる装置を、べーパライザー(気化器)と呼んでいます。
気化したLPG、すなわちプロパンまたはブタン(都市ガス原料としては主としてブタン)の都市ガス用としての利用には4つあります。
1つは、1立方メートル当り3万2000キロカロリーのブタンに空気を混ぜ、7000キロカロリーに下げて供給する方式。
このガスは「ブタン・エアーガス」と呼ばれています。
空気を混ぜるのは、ブタンのままではわずかの圧力でまた液体になってしまうからです。
この方式は、比較的小規模な都市ガス事業者で使われています。
2つめは、石炭ガス、ナフサ分解ガス、天然ガスなどと混合して供給するガスの熱量をあげるための増熱用です。
一方、連続式とは、触媒の入ったチューブの周囲を加熱し、ナフサまたはLPG(後述)と水蒸気を連続的に通してガス化するもので、高圧で運転されることが多いです。
サイクリック式に比べて、大規模なガス製造が可能で、効率もいいです。
また連続式は、原料の液体をポンプであらかじめ加圧することにより、高圧でガス化できますため、電力コストが節減できるというメリットもあります。
もっとも連続式には、1度停止させると、再スタートするのに時間がかかるという難点があります。
しかし、LNG転換が進んでくると、ガスの主成分がメタンになるため、このガス化方式も徐々に追い出されることになってきました。
代わってナフサから天然ガスと同じようなガス(代替天然ガス)を作るプラントが登場しました。
このプラントはSNGと呼ばれ、最初のものは昭和48年に建設されました。
その原理は、先程のナフサと水蒸気から作った水素主酸化炭素力らメタンを合成し、余分な二酸化炭素を除去するというものです。
ナフサの分解と、このメタンの合成反応とは同一の反応炉内で同時に行なわれますが、ナフサの分解反応が吸熱反応(外部から熱を吸収する反応)であるのに対して、メタンの合成反応は発熱反応。
そのため、反応炉の入り口をある温度に保っておけば、あとは加熱しなくても反応が進んでいくのです。
ナフサ
ナフサをガス化する基本的な方法は、ナフサの蒸気を水蒸気と混合し、高温で触媒を通すことによって、水素を主成分とするガスを作るものが一般的です。
このナフサの反応分解を『ナフサの水蒸気改良反応』といいます。
この反応では、一酸化炭素ができるので、一酸化炭素を減らすためにさらに水蒸気を反応させ、二酸化炭素と水素に変換します。
ナフサをガス化するプラントには実に多くの種類がありますが、水素を主成分とする基本反応はすべて同じで、通常700~800度Cで反応を行なわせます。
プラントは、大きく分けて、サイクリック式と連続式とがあります。
サイクリック式は、筒のなかにレンガを積み、触媒の入った反応炉のなかを一定時間、燃焼ガスで加熱し、温度が上がったところでナフサと水蒸気を入れてガス化し、温度が下がったらまた加熱する、というサイクルを繰り返すものです。
プラントの停止、再スタートは簡単。
しかし、高圧での運転はできません。
それに、ガスになってから圧力を上げると電力コストが増大するので、低圧供給ですむ需要の少ない規模の工場に向いています。
わたしたちの生活に欠かすことのできない都市ガス。
都市ガスは、いったいどんな方法で作られているのでしょうか。
原料別に見てみましょう。
石炭
空気を断って800~1000度Cで加熱することを『乾留』といいます。
いわゆる蒸し焼きです。
石炭を乾留すると、石炭中の揮発分は石炭ガスとなり(一部はタール)、残りの炭素分はコークスとなります。
都市ガス事業は、この石炭ガスから出発しました。
石炭を乾留する方式はいろいろありますが、現在一般的に使われているのは「室炉式コークス炉」といわれるものです。
石炭ガスは硫化水素、アンモニアなどを含むので、これらを除去しなければなりませんが、精製したあとはメタンと水素を多く含み、都市ガス原料として優れた性質を有しています。